第1回政府交渉の記録 その3

質問⓶「避難者」をどのように定義し、自主避難者も含めた避難の全体像の実態把握はどうなっているか。また、その記録の所在はどうなっているか。更に要援護者の避難の実態をどう把握しているか

「避難者」の定義についての回答
・「避難者の定義」というものは、個人の意思による部分が大きく、詳細な調査を行うのは難しい。
・質問は東日本大震災による地震・津波の避難者と、原発事故の避難者を合わせた質問だと考えていた。
・「原発事故の避難者」というものは定義していない。「必要な施策」に該当する人数を地方公共団体と情報交換して、政策を立案・実行している。
・「避難が何か」という明確な定義はしていないけれども、もともとの住宅から避難して生活している人で、各都道府県から「避難者」として報告されている人の数を「避難者数」として省庁では使用している。「こういう人を避難者として数え、報告するように」という指示伝達を政府からはしていない。

避難者の会の側からの追究:福島みずほ議員から政府に出された質問主意書に対する政府の答弁書で、「原発事故による避難者とは何かを政府は定義しない」と明確に答弁しているのに、なぜその答弁と違う答えをするのか。

追究に対する回答:福島議員の質問は「原発事故による避難者」についてだった。今回の交渉で出された「避難者の定義」という質問は、東日本大震災関連の全ての避難者に関する定義だと考えた。原発事故による避難者という意味ならば、内心の自由にかかわる問題でもあるので、答弁書の通り、定義しない。

再追究:支援対象である「避難者」を定義しなければ、支援のための政策を立てることができないのではないか。福島県外から避難している人もいるのに、それを数えず、支援もしないで、「復興」というのはおかしいのではないか。
 「避難者」の定義をしなければ、国として避難者の支援などできないはずなので、まず「避難者」の定義をしてほしい。支援政策の対象となる「避難者」を定義して、その上で人数を把握しなければ、支援政策の予算化ができないのではないか。

再追及への回答:「みなし仮設への入居者に対する支援」のように、施策ごとに対象の人数を把握すれば、支援は可能だ。

再々追究:2014年、埼玉県に避難している人の人数が、数え方の間違いがわかって、急に増えるという事例があった。政府が「避難者」の定義をしなければ、今も他の場所で同じことが起きている可能性があるのではないか?

 福島県からは「避難者意向調査」というものが、避難指示区域からの避難者と避難指示区域外からの避難者とを分けて、避難者に対する意向調査を行っている。福島県庁は「避難者」をどういう人たちか決めて、その人たちに対して調査を行っているのだが、国は避難者を「定義していない」とすると、福島県庁は、国が定義していない「避難者」に対する調査を勝手に行っていることになるのか?

再々追究に対する回答:「縦割り行政の弊害」と言われるかもしれないが、国は「避難者」を定義していない。

(この項目に関して、話は続きます)