報道「福島の避難者集計に3万人以上の差 県と市町村、手法ばらばら」(1/31共同通信)を受けて
◇私たちは引き続き、実態に添った統計、避難者の生活実態の調査と支援を求めていきます。
復興庁や福島県の避難者数集計・発表数に問題がありと、何年もいくつかの報道等で指摘されていたところです。
○このほど1/31共同通信の報道で、「福島県と各自治体の避難者数に開き―集計ばらばら、3万人差」と取り上げられました。福島県内42市町村に取材し、私たちが各自治体ウェブサイト等で検討しても不明だった点が明らかにされています。
○「解説」では、幅広い取材を基に、支援団体の「生活苦などの困難や社会的不安を抱える人もいる。避難先(自治体)も所在を把握し、対処する必要がある」というコメントも含め、「国主導で実態把握を」と指摘しています。
○共同通信調べでは、福島県内避難者数は県公表分約7200人に対し、市町村合計は4万2000人を超えています。県が災害公営住宅に入った人などを除外しているとのことです。
○福島県外避難者は、総務省の全国避難者情報システムにより約2万9000人に対し、市町村合計は約2万4000人だったとされています。
◇私たちは、県内避難について住宅取得世帯も除外していると推定しています。避難指示未解除や帰還居住率の低い町村の避難者数も毎月毎年どんどん減らされてきました。「住民票移動で避難終了」としている市町村があるため、実際は4万2000人より多いと見ています。
◇県外避難についても「住民票異動で避難終了」としている市町村があるため、2万4000人から2万9000人の間(全国避難者情報システムは帰還の届け出漏れ等がある)と見ています。
◇復興庁発表では宮城県内と岩手県内の避難者数もずれ等があります(福島県から宮城県に避難の人数の方が多くなってしまう等)。宮城県岩手県等からの避難者のうち原発事故の影響による避難がどれだけかは調査されたことがありません。福島県宮城県岩手県以外からの避難者は、全国避難者情報システムの登録対象になっていますが、集計が公表されていません。
◇広域の避難先自治体で実態より過小に集計された事例のあったことが分かっています。避難先自治体によって、はじめの避難登録ができなかった事例や、避難先変更の届け出が適切に受け付けられなかった事例、避難者当人の届け出によらず登録・集計から外された事例、「登録終了を事後承諾しますか」という電話で意に反して外された事例等です*。当事者や支援者の働きかけにより再登録がされたものもありましたが、知られていない事例も存在する可能性があります。
避難を続ける意思を持つ住民は、持ち家に居住か否かや、住民票移動の有無や、避難指示区域の内外、避難元都県を問わず全国避難者情報システムの対象である、という原則の周知が不十分だったためでもあると思われます。
◇私たちは引き続き、実態に添った統計、避難者の生活実態の調査と支援を求めていきます。
※復興庁、福島県等の発表情報リンクは、まとめサイト「東日本大震災・避難情報&支援情報サイト」さんが見やすくなっています。
https://hinansyameibo.katata.info/article/evacuees-311japan-20210208.html
*大阪府避難者数が数百人統計漏れ(2017年) https://hinansyameibo.katata.info/article/451405268.html
* 埼玉県避難者数が大幅統計漏れ(2014年) https://hinansyameibo.katata.info/article/406339988.html