第1回政府交渉の記録 その5

(以下、質問項目⓷~⓺については、既に予定していた時間を超過していたこともあり、まとめて回答を出してもらい、問題と感じる部分を本会側が追究する形になりました)

⓷ 昨年改定された原発事故子ども・被災者支援法基本方針で、支援対象地域は『新たに避難する状況にない』としたが、これはどのような根拠で、いかなるプロセスで決められたのか。また、その記録の所在はどうなっているか。この認識には、避難者も含む被災当事者(自治体ではなく)の認識はどう反映されているか。また、原発事故汚染による、「人権としての避難の権利」についての認識はあるか。

回答 プロセスは、来年度から「復興創生期間」が始まることから、見直しを決めた。様々な意見を聞く機会を作り、その意見を踏まえて「避難する状況にはない」という表現を「新たに避難する状況にはない」という表現に変えた。

⓸ 原子炉の燃料棒があるべき場所にないことが、昨年のミューオン測定で明らかになった。その知見を含めて、事故によって環境中に放出された放射性物質の核種と量を再度推計する再試算はどうなっているか。無いのであればなぜ再計算しないのか。

回答(規制委員会):将来的に再推計をする可能性はあるが、現時点では再推計をする意思はない。

⓹ 追加被曝線量年1~20ミリシーベルトの環境に生活している住民に、健康影響が出ないとする科学的根拠はなにか。チェルノブイリ原発事故被害の知見を踏まえた科学的根拠を示せ。

回答:広島・長崎の原爆被害者を長期間観察した研究によれば、放射線被曝の発がんリスクは100mSvを越えなければ、他の要因に埋もれる程影響が小さいことが世界的な認識である。長時間で100mSv被曝した場合は、作業等で短時間に100mSv被曝した場合に比べて健康影響が少ないことが推計されている。チェルノブイリ原発事故の場合、福島原発事故に比べると住民の被曝量が多かったことが20年間の調査でわかっている。チェルノブイリ原発事故後の小児甲状腺がんの多発は、放射性ヨウ素が大量に含まれた牛乳を飲んだことが原因だと推定されるが、日本ではそのような事は起きていない。福島原発事故では、被曝量が100mSvを超える者がいなかった。以上の事から、福島第一原発事故では、チェルノブイリ原発事故に比べて小児甲状腺がんの発がんリスクは小さいと思われる。

⓺ 除染廃棄物の保存、移動、処理について、当初の計画が完全に破綻している。現段階の除染廃棄物に関する具体的で達成可能な計画はどうなっているか。

回答(環境省):福島県内では、仮置き場に除染廃棄物を補完する期間が計画よりも延長していて、住民の皆さんらにご心配をかけている。引き続き、可能な限り迅速な中間貯蔵施設の整備、安全な輸送等に全力を挙げて取り組んでいく。