希望新聞:東日本大震災 原発事故避難者ら、権利求める会結成 国の方針に危機感
毎日新聞の「希望新聞」記事です。
希望新聞:東日本大震災 原発事故避難者ら、権利求める会結成 国の方針に危機感/「みなし仮設住宅」支援打ち切りにがくぜん
毎日新聞 2015年11月13日 東京朝刊
東京電力福島第1原発事故の避難者らが「『避難の権利』を求める全国避難者の会」を結成した。10月29日に参院議員会館で開かれた集会には約130人が参加。「避難者を消そうとする政策が進んでいる」と危機感を訴える意見が出された。参加した避難者の声を紹介する。
福島市から札幌市に自主避難する中手聖一さん(54)が共同代表に就任。中手さんは「これからも避難できる選択肢を残していくことが大事だ。避難の権利を実質的に保障させる立法、施策を政府に働きかけたい」と運営方針を明らかにした。
今後取り組む重点課題に掲げたのは、移住・保養▽住宅保障▽健康・医療▽避難者の実態把握▽全国的なつながり作り−−の5項目。特に住宅については、福島県が自主避難者に対する「みなし仮設住宅」の無償提供を2017年3月で打ち切る方針を示しており、意見が相次いだ。
河井加緒理さん(34)は事故直後に福島県いわき市から幼児2人を連れて自主避難し、埼玉県内のみなし仮設に住む。事故後に離婚し、体調も悪化して一時は生活保護を受けた。河井さんが「自立しようとした矢先の『打ち切り』にがくぜんとした。私たちは被害者なのに、『支援』や『補助』と言って、『助けてやっている』という姿勢はおかしい」と訴えると、出席者から大きな拍手が起きた。
また国は放射線量の高い「帰還困難区域」を除いて17年3月までに避難指示を解除する方針を示している。原発のある福島県大熊町から新潟県に避難する大賀あや子さん(42)は「東京オリンピックに向けて、避難者自体を消そうとしている。しかし強引に避難指示を解除しても、多くの人が帰還しない。立場を超えて避難者同士がつながることが大事だ」と呼びかけた。
避難指示区域内外からの避難者のほか、やむなく帰還した人も入会できる。申し込み、問い合わせはhinannokenri@gmail.comまで。【日野行介】
http://mainichi.jp/shimen/news/20151113ddm012040008000c.html