第1回政府交渉の記録 その4

SAFLAN福田弁護士の指摘:埼玉県で避難者の人数の数え違いがあった時に、平成26年8月4日に「避難者数調査における避難者の定義の留意事項」という項目が出されていると、社民党の吉田 忠智議員の質問主意書に対する答弁で記述されている。政府側の皆さんは、今日のこの場所に出てくるにあたって、一体どれだけの準備をしてきたのか、疑問だ。事前に質問項目が文書で政府側に提示されているのに「避難の権利」とは何か、など、そういうことを調べずに政府側はこの席に来ているのか?

回答:その埼玉県の避難者の人数数え間違いをした時の担当者が、今日、この場にどうしても来ることができない。

福田弁護士:そのことではなく、包括的に「避難者」というものの定義を求められているのに、その答えを準備せずにここに来ているのか?

回答:先に回答したように、避難者を網羅的に調べることは非常に困難なので、全体像を把握することは難しい、個人の意識にかかわる問題でもあるので、定義は難しいと考えている。

再度の追究:
 「個人の意思の網羅的な確認は難しい」との答えだったが、被害者は皆、その確認を政府が実施しに来るのを、この5年間、ずっと待っている。政府または政府の代理の人が各戸を訪問して、被害状況や思いを聞き取りに来てくれるのをずっと待っている。それは、避難者だけでなく、避難しなかった人も含めて、同じだ。「難しいからできない」という理由では納得できない。それは、福島県だけでなく、原発事故被害だけではない。宮城県や岩手県の地震・津波被害の人達も、いわゆる「被災3県」に「入らなかった被害者も同じだ。今からでも、被害の実態調査、被害者の意向調査を実施してほしい。

 「個々の事情を網羅的に確認できない」というからには、「個々の事情を網羅的に確認しないと把握できないのが避難者だ」という定義があるはずだ。各政策が必要な対象人数を把握するためには、避難者の定義が存在するはずではないか?

回答 各施策を進めるにあたって、様々な機会と方法をとらえて、対象人数を把握している。「避難者全体の定義」はなくとも施策を作り、実行することはできる。

再度の追究:
やはり、「避難者の定義」は必要だ。政治で行ってほしい支援策はたくさんあるのだが、いざ、「こういう事をしてほしい」と提案すると、「それが必要な人はどれくらいいるのか?」と行政側に逆に質問されるのが現状。それは、私たちでは調べることができないので、実施してほしい施策を提案することができない。だから、政府・行政に実態を把握してほしい。全体像の把握は必要だ。

FoEjapan満田さんから指摘:先ほどの福田弁護士の話の中で触れた、平成26年8月4日に出された「避難者数調査における避難者の定義の留意事項」という文書の中には、「避難者として数える人」の条件として、「前の住居から移ってきて、前の住居に戻る意思を有する者」という定義があるらしい。まずは、その文書を出してほしい。避難者の皆さんは、その定義では納得できないと思うが、その文書を出すところからしか、話は始まらないと思う。

回答 当時の担当者がこの席に来ていないので、詳細は分からない。

追究:その文書を出して(公表して)下さい。