2016年11月8日 4団体 政府交渉記録 その4

(承前)
司会:ありがとうございました。それでは、各項目に沿って交渉をさせていただきます。
要望1 ①除染
司会:では、まず、要望書の1項目の質問の①、<環境省の除染ガイドラインに沿って除染をしても、放射性物質が取り除けず、線量が下がらないケースが多発しているが、これについて、国はどのような対応をしているか。>このことについて、まず、環境省さんに聞いた方がよろしいでしょうか?質問に対して、ご準備されてきて、担当だというところがあれば挙手をお願いします。

環境省在原:環境省除染チームからお答えいたします。まず、環境省では原発事故後、「放射性汚染物質汚染対処特措法」に基づき除染事業を実施しております。この除染は今、最適と考えられる手法を用いて、線量を低減させる作業を実施しているところでございます。そういった除染作業に加えて、モニタリング、食品安全管理、リスコミ、総合的な施策を通じて、住民の方が生活する中で、長期的な年間の追加被ばく線量を年間1ミリシーベルトを目指して作業を実施しているところでございます。除染の状況ですが、除染後に実施するモニタリングの結果から、面的には、除染後に線量が上昇するということは見受けられず、これらのことから、除染の効果はおおむね維持されていることが確認されています。除染の効果は場所により、異なるものではございますが、例えば、楢葉町は環境省が国直轄で除染をしていますが、除染工事により全住宅の線量が平成28年の2月末時点で66%低減していると言うことがございまして、除染の効果は適切に維持されていると考えております。以上です。

司会:それでは、当事者団体から、質問がありますか?

宍戸:「避難の権利」を求める全国避難者の会の宍戸です。根本的なところで考え違いをなさっているようですが、放射能汚染は面的なものではないです。これは過去の放射能事故でもどこでもわかっていることです。2メートル違えば、結果は違います。面的に結果を出すというような考え方そのものがおかしいです。それから先ほどの答えの前半部分、最適と思われるような方法・・・抽象的で、だれが決めて、どのような段取りで決めて、被害者がどのような意見を述べる機会を与えてもらえたかについてお教えいただけますか?

環境省在原:まず、最初のご質問の面的な線量についてですが、全体の線量を下げる必要があり面的除染を行っているところであります。ご承知かもしれませんが、面的除染の後に、モニタリングを行い、その結果で、一部高いところ、また面的除染では、十分な結果が得られなかったところに、フォローアップ除染といって、スポット的な追加的な除染も行っているところです。除染の手法につきましては、除染事業というものが事故以降、日本で初めて行われるものでありまして、最初から確実な手法と言うより、これまでの知見を積み上げながら、ご自宅とか道路で場所、場所によって最適な手法を用いて、組み合わせて可能な限りの低減を目指しているものです。最後に各住民の方の合意の問題についてですが、除染作業をするに当たっては、住居であれば、その所有者の方にご同意をいただいて、除染を行っています。

宍戸:まず、どうやって、そちらが、除染の方法はこれが最適だと決めたのかと言うことを聞いているのです。今のお答えの中で、その理由がなかったので、この方法が最適だと決めた理由についてお答えください。

環境省在原:先ほどから、申し上げているとおり、ある一つの方法が最適だと申し上げているのではなくて、各除染の場所によって、例えば、はぎ取りをするであるとか、洗浄を行うとかいろいろな方法があると思いますが、除染の方法はそれぞれの場所であるとか、線量であるとか、考えられることはいろいろあるので、その場所に応じて最適と思われる方法で実施をしているということであります。

中手:除染について私たちは否定しているものではありません。問題は努力されたかどうかではなくて、現実として安全だというところまで取り除かれたかどうかです。ここで言っているのは、がんばっているのだけれど、結局、放射線量が下がらない、放射性物質が蓄積されたまま、放置されている場所が多々あるではないか、このことを取り上げたいのです。先ほど、除染で、洗浄といわれましたが、残念ながら、洗浄というのは私の目の前から、どっかよそに流してしまえと言うことです。流した先で、たまっているということですよ。国交省の方もこられていますが、一級河川の阿武隈川は国交省の方が管理されているんですよね。あそこなんて、生活排水が流れ込んでいて、たいへんな所があるんですよ。私、この前あそこに行ってきて、空間線量が4マイクロあるところがあるんですよ。ほんとですよ。除染除染と言うけれど、結局本当に避難者が帰れると思えるような状況にはなっていないじゃないか、どうするんだ。このままやり続けて、もう、そういうところは、しょうがないじゃないかというふうに考えているのか、それとも、そういう所はわかっていて、こういう手を打つんだということがありますか?それがここの質問の趣旨ですよ。お答えください。

環境省在原:環境省としてはこれからも適切な除染を実施していくという立場ですので、これからも「放射性汚染物質汚染対処特措法」に基づいて適切な除染を実施していきたいということです。

鴨下:先ほどのお答えで、線量が下がらないケースを把握していないというご回答に聞こえたのですが、環境省としては下がらないケースはないと把握しているということでよろしいですか。

環境省在原:線量が下がらないケースがないというお答えしたつもりはないのですが。除染を実施すれば除染前よりは、線量が下がるということは把握しています。低減の度合いについては、場所によって異なりますので、多く下がるところもあれば、一度の面的除染では、低減効果が少なくて、継続的にフォローアップ除染を実施しているところもあります。除染をすれば、除染前よりは線量は低減していることを確認しているという趣旨で申し上げています。

鴨下:ここで質問しているのは、除染をしてもその後、戻ってしまうという意味でのケースで、線量が下がっていないということなんです。それについては把握されていないのですか?

環境省在原:環境省が実施しているモニタリングでは、面的除染を実施しまして、その地域の空間線量率を測り、除染前と除染後を比較し、除染の効果はおおむね維持されていると言うことです。1点1点の場所ということではなく、まず、地域の面的除染をして、その効果はおおむね維持されていると確認しているということです。

(続く)